公開日:2015年7月7日

豪州準備銀行(オーストラリアの中央銀行)は、政策金利を2.0%で据え置きました。
同時に発表された声明は、先月と比べて掲載文の多少の変更はありましたが、大きな変更はありません。
そこで今回は、豪州準備銀行が声明でしばしば言及する「通貨バスケット」について考察しましょう。

 

通貨バスケットの内訳

声明では、以下の趣旨で通貨バスケットに言及しています。

「豪ドルは米ドルに対して大きく下落した。しかし、通貨バスケットに対してはそうではない。豪ドルの更なる下落が必要である。」

通貨価値は上昇したり下落したりします。しかし、通貨価値は通貨ペアで評価することが一般的です。
このため、例えば豪ドル/米ドル(AUD/USD)では豪ドルが弱くなったけれども、豪ドル/円(AUD/JPY)では豪ドルが強くなった場合、全体として豪ドルはどうなんだろう?ということを考えるときに難しくなります。

上の例は2つの通貨ペアですが、オーストラリアと貿易関係のある国は多数あります。
そこで、通貨バスケットを使い、一つの数字を算出します。
これにより、今現在の豪ドルは強いのか弱いのかが容易に把握できるようになります。

この通貨バスケットは、貿易量によって決められます。2015年7月時点の通貨バスケットに採用されている国とその比率は以下の通りです(上位10通貨、RBAホームページから引用。以下同じ)。

通貨構成比率
人民元27.8725
12.5093
米ドル9.7650
ユーロ7.2279
韓国ウォン5.9646
シンガポールドル5.1525
ニュージーランドドル3.9440
ポンド3.5313
マレーシアリンギット3.4650

人民元のウェイトが圧倒的に大きいです。2位である日本の2倍以上です。
オーストラリアと中国の間の貿易が盛んであることが分かります。

通貨バスケットの推移グラフを確認しましょう。近年の豪ドルが弱くなっていることが分かります。
大幅に弱くなっているように見えますが、豪州中央銀行から見れば、この下落ではまだ足りないという判断です。

basket-of-currencies-australia-201507

さて、声明では、「豪ドルは米ドルに対して弱くなった」とプラスに評価しています。
人民元は米ドルに対して値動きがとても小さいので、豪ドルは人民元に対しても弱くなっています。
通貨バスケットを構成する第1位と第3位については、不満なしということです。

しかし、通貨バスケットに対する豪ドルの下落は不十分だと評価しています。

ということは、豪州準備銀行が不満を表明している矛先は円とユーロである可能性があります。
そこで、AUD/JPYとEUR/AUDの推移を確認しましょう。

audjpy-2010-2015

AUD/JPYでは、豪ドルが円に対して強くなっている様子が分かります。
2010年には75円割れを記録したこともあるのですが、2015年7月7日時点で90円を超えています。
すなわち、2010年に比べて20%程度、豪ドルが円に対して強くなったということです。

euraud-2010-2015

EUR/AUDについては、2012年に豪ドルがユーロに対して最も強かったと分かります。
その後、豪ドルが弱くなり、2014年から再び豪ドルが強くなっています。

上の二つのチャートから判断すると、豪州準備銀行は円とユーロに対して豪ドルがもっと弱くなってほしいと思っているのかもしれません。