公開日:2015年7月14日

スイスは政策金利をマイナス圏に維持しています。
スイスは、政策金利として3か月物LIBOR(ライボまたはリボール、銀行間取引金利)を採用しています。
そこで、政策金利の推移をグラフで確認しましょう(スイス国立銀行ホームページから引用)。

swiss-interest-rates-201507

緑色の線が2つあります。これが政策金利の範囲です。
スイスは特定の1点の金利水準を政策金利とせず、一定の範囲内に政策金利を誘導する政策を採っています。
2015年7月現在の政策金利はマイナス1.25%~マイナス0.25%です。

そして、赤線が政策金利の実際の動きです。
2014年は0.0%付近に張り付いていました。その後、スイスショックを経て政策金利が急速に低下し、マイナス0.8%あたりで推移していることが分かります。

ここまで異例の政策金利引き下げをしなければならない理由は一つ。ユーロ圏の混乱でしょう。

ユーロ圏の混乱

ユーロを持ちたくない

安全資産であるスイスフランを持ちたい

スイスフランが極めて強くなりすぎた

政策金利をマイナスにすることにより、スイスフランを持つメリットを低下させる

さて、この記事を投稿した時点でギリシャ問題は収束の様子が見えません。混乱が収まらず、さらにスイスフランが強くなりすぎる場合を想定しましょう。スイスの中央銀行であるスイス国立銀行は、どのような手を打てるでしょうか。

 

スイス国立銀行の「次の一手」は?

(以下の話は、あり得るかもしれないという「想定」です。そうなるということではありませんので、その点ご了承ください。)

スイス国立銀行の次の一手は何でしょうか。

特定の為替レート水準を設定してスイスフランを防衛するという方法は、もう使えないでしょう。
2015年1月15日、スイス国立銀行は市場に負けてしまいました。
ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)=1.20を死守することができませんでした。
おかげで、スイス国立銀行は巨額の含み損を抱えています。

そこで、さらに政策金利を低くするという方法を想定しましょう。
すると、市中銀行の預金金利も低下するでしょう。

2015年7月現在のスイス国内銀行のスイスフラン建て普通預金金利を確認すると、年利0.00%~0.01%くらいです。まだ辛うじてマイナスになっていませんが、政策金利がさらに引き下げられると、預金金利がマイナスになるかもしれません。

すると、預金は損です。銀行にお金を置いておくと、お金が減ってしまうのですから。
そこで、現金の需要がぐっと増えるでしょう。

大勢の人が多額の資金を現金で保有してしまうと、いくら政策金利を引き下げても効果がありません。
現金で持っている限りは金利の影響がないからです。

そこで、どうするか。

1. 預金の引き出し規制(資本規制)・・・とてもできるものではないように思いますが、その気になればできるかもしれません。

2. 預金引き出し時の手数料をぐっと大きくする・・・手数料が大きすぎるから、現金にするのを止めるように誘導します。

1.も2.も実現できるかと言えば難しいでしょう。しかし、こういう規制を導入するかもよ?と匂わすだけでも、スイスフランを持ちたいという人数を減らすことができるかもしれません。すなわち、スイスフランが過度に強くなることを防げるというわけです。

また、実際に実施してしまうと、スイス国民の経済活動への影響が大きすぎます。
そこで、外国人限定で実施というのもアリかもしれません。

スイス国立銀行は「次の一手」を考えるのに苦労しているかもしれません。
彼らもまた、ギリシャによって困難な立場に置かれてしまった機関の一つでしょう。