公開日:2015年5月3日
最終更新日:2017年1月2日

ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)は、2010年代前半の為替相場の主役の一角を担っていました。そこで、最初に2008年末以降のEUR/CHFの為替レートを確認しましょう。

 

ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)の長期チャート

2008年のリーマンショック直後は、ユーロ圏への悪影響はすぐに表れていなかったと予想できます。というのは、EUR/CHFのレートが1.5くらいで安定しているためです。しかし、次第に悪影響が誰の目にも明らかになりました。

PIIGS問題の発生です。ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ及びスペインの頭文字をつなげて呼ばれたこの問題。これら諸国の財政状況が極めて悪くなり、ユーロ圏の問題諸国として、市場はその対応に注目していました。

一方のスイスは、リーマンショック後も財政黒字を維持していました。経常収支は一貫して黒字で、一般政府の累積赤字も他の諸国に比べて少ない水準でした。

崩壊するかもしれない?というユーロを持つか、安定度や信頼度で抜群のスイスフランを持つか?この選択でスイスフランを選択した人が多かったようです。ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)はあれよあれよという間にスイスフラン高になりました。

そのスピードは加速度的になっていたため、スイスは2011年にユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)=1.20以下に下げないという政策を突然打ち出しました。大量の市場介入を継続的に実施したのです。これを受けて、為替レートは反転急上昇。その後はEUR/CHF=1.20のすぐ上の水準で推移しました。

スイスがこの政策を実行しているうちにユーロ圏の問題が解決すれば良かったのですが、ギリシャ問題は収束の様子を見せませんでした。

それどころか、ギリシャがユーロを離脱するか?という話が出るような状態でした。このため、スイスフラン高を促す市場圧力が衰えることがなかったようです。

これに耐え切れず、スイスは2015年1月にいきなりEUR/CHF=1.20の政策を撤回しました(スイスショック)。為替相場は大暴落し、複数のFX業者が破たんしたり経営危機に陥るなどしました。

上のチャートで2015年初めに下方向に大きく動いていますが、これは1日で動いた距離です。実際にはもっと大きく下方向に動きました。終値でチャートを作っていますので、その動きが過小評価されたチャートになっています。

その後は、比較的安定した推移となっています。

 

スイスショック後も、スイス国立銀行は市場介入を続けている

スイスの中央銀行であるスイス国立銀行は、2015年1月に市場介入を断念しました。しかし、その後も断続的に市場介入を続けています。また、必要があれば市場介入する旨も発信し続けています。

この代表的な例は、2016年6月のイギリス国民投票時の値動きです。最初に、米ドル/円(USD/JPY)の日足チャートで確認しましょう。横軸の数字は6月の日付です。

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24日に一気に円高になった様子が分かります。24日の高値は106円台、そして、安値は98円台だと分かります。米ドル/円(USD/JPY)が1日で8円も動くというのは滅多にありません。市場の混乱ぶりが良く分かります。

次に、同時期のユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)を確認しましょう。

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24日に下方向に動いていますが、米ドル/円(USD/JPY)と比べると穏やかな動きです。高値は1.10で安値は1.06半ばくらいです。価格変動率は、米ドル/円の半分くらいしかありません。

これは、スイス国立銀行がスイスフラン売りの市場介入をしたためです。

今後も、スイス国立銀行が必要と判断すれば、市場介入が実施されると予想できます。このため、今後も為替レートの値動きは米ドル/円(USD/JPY)とは異なる可能性がありますので気を付けましょう。

 

ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)のスワップポイント推移

では、次に、EUR/CHFのスワップポイントはどのような感じだったのでしょうか。下のグラフをご覧ください。

これは、毎月のユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)のスワップポイントのグラフです(「くりっく365」から引用)。横軸は年、縦軸はスイスフランです。毎月得られたスワップポイントの合計額を示しています。

2008年までは大きなスワップポイントを得られたことが分かります。1か月間のスワップポイントは35スイスフラン~40スイスフランあたりです。

2009年に入ると、スワップポイントが大きく減少してしまいました。2014年には何か月も連続でマイナスに沈んでいることが分かります。

上のグラフの期間(2008年11月~2016年12月)に得られたスワップポイントの合計は、1万通貨当たり390スイスフラン弱です。すなわち、買値から390pipsくらいスイスフラン高になっても、評価損とスワップポイントの合計で損失になりません。

しかし、ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)のチャートをご覧いただきました通り、この間のスイスフラン高の値動きは8,000pipsに到達しようかという水準でした。350pipsでは焼け石に水です。

リーマンショック前からEUR/CHFでスワップ派をしていた場合は、損切りを余儀なくされた可能性があります。

 

長期の為替レートとスワップポイント