このサイトでは、スイスフランを含む通貨ペアでスワップ派の取引を実行する利点として、日本財政危機に備えた保険だとしました。そこで、日本の財政危機が現実になる場合をシミュレーションしてみましょう。

嫌な内容ですが、頭で考えるだけなら問題ありませんし、現実になってしまう場合に慌てなくて済みます。

 

どのような過程で財政危機が現実になるか

このシミュレーションはとても難しいように思います。今日は全く何もなかったのに、明日の米ドル/円(USD/JPY)レートが今日の数字の2倍になっているという極端な例があるかもしれません。

ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)がこれに最も近い例の一つのように思います。しかし、その前にEUR/CHF=1.20よりも下に下げないという、通常でない政策を実行していました。

日本もスイスと同様の政策を採用して、例えばUSD/JPY=140円よりも円安にさせないといった政策を採用する場合は、EUR/CHFの例を真剣に勉強せざるを得ないでしょう。

今回は、最初はじわじわと財政危機が進行し、ふと気が付いてみたらマスコミも世界中も大騒ぎ。そのようなパターンを例として設定しましょう。イメージとしては、EUR/CHFよりも2010年代のユーロ圏の危機のほうが近いです。

 

財政危機のシミュレーション

想像の域を出ないシミュレーションではありますが、頭を絞って考えてみましょう。

0. 平安を保っている段階

日本の財政危機の危険性について長年にわたってあちこちから懸念されています。その回避のために消費税が増税されています。財政の最大の圧迫要因は社会保障費ですが、毎年の増加幅を圧縮するように政府はあれこれ考えているようです。

政府は財政の健全化に向けて努力しています。

1. じわじわと財政危機が進行する段階

じわじわと円安が進行します。円高の修正だったり、循環的な要因だったり、様々な要因で為替レートが変動します。そこで、この段階で財政危機が原因で円安になりつつあると判断するのは難しいと予想します。

2. マスコミが「あれ?おかしいぞ?」と報道しだす段階

マスコミが騒ぎだすからには、なにか根拠があるでしょう。

「国債金利が上昇しだして止まらない」
「どう計算しても財政再建は不可能だ」

このような報道がある場合は、必ず元データを確認しましょう。国債金利の推移ならば、財務省ホームページで確認できます。

3. 誰の目にも明らかにおかしいと分かる段階

円安がどうにも止まらない、物価の上昇も止まらない、増税も同様で、金利も上昇中。しかも、その速度が速い。体感的にも苦しい。この段階になると、誰の目にも明らかになっていると思います。

 

円のスワップ派

財政危機が明らかになるとき、日本の金利は上昇するでしょう。すなわち、円を売るスワップ派だと、スワップポイントがマイナスに転落する可能性があります。しかし、日本の財政危機なのですから、大きく円安になるでしょう。

金利が上昇してスワップポイントがマイナス転換しても、円安で得られる利益の速度よりは小さいでしょう。今までに既に得たスワップポイントもあります。そこで、合計で利益を得られると予想します。

日本の財政危機の可能性を心配する場合、円のスワップ派は有効だと考えることが可能です。

注意点としては、今までに得たスワップポイントは円建てです。このため、円安の進行とともにその実質的価値(購買力)が低下してしまうことが欠点です。これを補う方法として、スイスフランのスワップ派が考えられます。

 

スイスフランのスワップ派

スイスフランで日々のスワップポイントを得られますが、それをスイスフランのまま蓄積する場合を想定します。大きく円安になるのですから、スイスフランで蓄積した証拠金の円換算額は大きく上昇します。この点が、円のスワップ派との違いです。

しかし、問題点もあります。

リーマンショック後を振り返りますと、スイスフランと円が上昇しました。それは、スイスフランと円が安全な通貨だと世界に認められていたという証拠でもあります。

そして、日本の財政危機により、安全だと見なされていた日本が脱落するということは・・・スイスフランだけが強くなるパターンが想定できなくもありません。

これが実現してしまう場合、スイスフランのスワップ派は含み損を抱えることになります。既に獲得したスワップポイントはスイスフランで保有していますから、円安はプラスに作用します。しかし、含み損という点で、この事態は回避したいです。

そこで、スイスフランでスワップ派をしている場合には、以下の対処が必要になるかもしれません。

1. 上のシミュレーションで、マスコミが「あれ?おかしいぞ?」と騒ぎ出す前に、スイスフランのスワップ派を終了する。
2. 上記1.に間に合わなくても、金利データなどで異変を確認したら、スイスフランのスワップ派を終了する。

日本財政危機の保険でスイスフランを得ました。危機が現実になりそうなときには、お役御免でスイスフランのポジションを決済します。

あるいは、スイスフランはさらに超低金利になり、含み損を抱えつつも毎日のスワップポイントはプラスで維持できると想定することも可能です。これを狙うならば、含み損を考慮しないでスワップ派を続けることになります。

この方法は、別記事「スワップ派でコンソル公債みたいに取引してみる」の方法です。

日本の財政危機が現実になる場合、日本は大不況に陥ることになるでしょう。すると、勤め先の会社が倒産したり、自分の事業が行き詰る可能性があるかもしれません。

収入の道が途絶えてしまうときに、含み損ながらも毎日のスワップポイントを得るという方法は、選択肢として残せると思います。

繁栄が永続することはないのと同様、危機が永続することもありません。含み損に耐えながらスワップポイントを毎日確保し、将来の為替レート回復を待つという方法です。

 

円とスイスフラン、両方でスワップ派

円のスワップ派、スイスフランのスワップ派。両方とも、メリットとデメリットがありました。日本の財政危機で円安になるとき・・・

1. それまでに得たスワップポイント

円のスワップ派: 価値が減少
スイスフランのスワップ派: 価値が上昇

2. 含み損益

円のスワップ派: 含み益
スイスフランのスワップ派: 含み損

3. 危機後のスワップポイント

円のスワップ派: マイナス転落の可能性
スイスフランのスワップ派: プラス維持の可能性

では、どうしましょうか。選択肢としては、「円のスワップ派とスイスフランのスワップ派を両方実行する」があるでしょう。

上の1.では、価値の上昇・下落はあるものの、両方ともプラスを維持します。2.と3.では、一方がプラスで一方がマイナスです。そこで、両方のスワップ派を実行してしまえば、1.のプラスはプラスのまま、2.と3.はお互いに打ち消しあって損益ゼロまたはその近辺にできるのでは?ということです。

あとは、円のスワップ派の投資額と、スイスフランのスワップ派の投資額のバランスの問題です。お好みの配分でトレードすることになります。