投資をする際、分散投資が良いと言われることがあります。

一つの投資対象に全額を投入し、その投資対象が悪いことになると、資産が大幅に減ってしまうかもしれません。そこで、いくつかに分散して投資し、一つがダメになっても他の投資で挽回できるようにする、という趣旨です。

では、円を売るスワップポイント狙いで、分散投資は有効でしょうか。確認しましょう。

主要通貨ペアで分散投資

スワップポイント狙いのトレード(スワップ派)では、円売り外貨買いをすることが多いでしょう。そこで、ここでは主要5通貨ペアの値動きを比較して、分散投資が可能か考えます。

主要5通貨ペア:
米ドル/円(USD/JPY)
ユーロ/円(EUR/JPY)
ポンド/円(GBP/JPY)
豪ドル/円(AUD/JPY)
NZドル/円(NZD/JPY)

なお、値動きが似ているかどうかを確認するために、相関係数を使う方法があります。今回は、視覚的に考えるため、長期チャートを見ながら考えることにします。

最初に、5通貨ペアの値動きを確認しましょう。

主要通貨ペアの長期為替レート

下のチャートは、1996年以降の値動きをチャートにしたものです。20年以上の期間ですから、分散投資が可能かどうかを確認するのに、十分な期間でしょう。

長期の為替レート

パッと見た印象はどうでしょうか。円安になるとき、どの通貨ペアも円安になっているように見えます。同様に、円高になるときも、一斉に円高になっているように見えます。

そこで、もう少し詳しく確認するために、2つの通貨ペアで確認しましょう。

豪ドル/円とNZドル/円

下のチャートは、豪ドル/円とNZドル/円を抜き出したものです。いかがでしょうか。

長期の為替レート

過去20年以上を見る限り、豪ドル/円とNZドル/円では分散効果がほとんどなかったことが分かります。円安になるときは同時に円安になり、円高になるときも同様です。

このため、スワップポイント狙いで取引する場合、豪ドル/円とNZドル/円の両方を買うのではなく、一方だけでよいのでは?と考えることができます。

ただし、細かく見ると、双方で値動きが異なる場面があります。よって、短期トレードの場合は、豪ドル/円とNZドル/円を同時に実行しても、特に問題はないでしょう。短期トレードの場合は、そもそも分散投資という概念がないかもしれませんが。

米ドル/円と豪ドル/円

次に、米ドル/円と豪ドル/円で比較してみましょう。下の通りです。

長期の為替レート

米ドル/円と豪ドル/円の場合は、値動きがいつも同じだとは言えないようです。

例えば、1997年くらいから2000年くらいにかけて、豪ドル/円はほぼ円高一辺倒でした。しかし、米ドル/円は円安になったり円高になったりしています。その他、2000年くらいから2008年にかけても、値動きが異なります。

よって、米ドル/円と豪ドル/円については、分散投資で一定の効果があるといえそうです。

米ドル/円とポンド/円

米ドル/円とポンド/円を確認しましょう。下のチャートを見ますと、円安になるときも円高になるときも、おおむね同じように動いていることが分かります。

長期の為替レート

ただし、ポンド/円は値動きがとても大きいです。2007年には250円を記録しています。一方で、2012年や2016年には、130円くらいを記録しています。

すなわち、為替レート水準が半分くらいになったということです。

値動きが大きいのは、トレードするうえで魅力的です。しかし、スワップポイント狙いとしては、うれしくもあり、少々怖い感じもすることでしょう。

米ドル/円とユーロ/円

最後に、米ドル/円とユーロ/円を比較しましょう。ユーロは新しい通貨です。このため、1990年代はチャートがありません。2000年代以降で比較しましょう。

長期の為替レート

ユーロ/円を買う場合、スワップポイントはマイナスになることが多いでしょう。このため、スワップポイント狙いとしては、ユーロ/円は選択肢になりません。

しかし、ユーロ圏の金利が再び上昇するときに備えて、長期的な傾向を確認しておきましょう。

上のチャートを見ると、米ドル/円とユーロ/円は似たような値動きをしていることが分かります。よって、米ドル/円とユーロ/円では、分散効果を得るのは難しいだろうと言えます。

円売りのスワップポイント狙いで、分散効果を得るのは難しい

以上の比較から、以下のことが当てはまりそうです。

分散投資しても、効果が乏しいグループ1:
豪ドル/円
NZドル/円
分散投資しても、効果が乏しいグループ2:
米ドル/円
ユーロ/円
ポンド/円

上のグループ内で複数の通貨ペアを買っても、分散効果が乏しいことが分かります。グループ1から1つ、そしてグループ2から1つ、という選択でしたら、一定の分散効果を得られるかもしれません。

分散効果を期待できるのは、通常時の場合

なお、どの投資商品でも当てはまるでしょうが、分散投資で効果を得られるのは、通常時の場合です。通常時に何か一つの投資対象がダメになっても、他の投資対象は健全なので、全体として何とかなるという考え方です。

2008年のリーマンショックのような惨事の場合は、分散効果を期待するのは難しいです。

よって、スワップポイント狙いのトレードをする場合は、通貨ペアを1つまたは2つに絞り、投資資金の全額を使わず、常に余裕をもってトレードをするという選択肢が有力になります。

また、可能な範囲で円高の時に買うのも、暴落に対する有効な対策になるでしょう。円安になったら、利食い額を大きくできます。

株式や投資信託で分散投資

非常時の場合にも分散効果を得たい場合、どうすれば良いでしょうか。スワップポイント狙いでトレードするとして、分散投資先はFXに限定する必要がありません。そこで、日本株で分散投資するとしましょう。

下は、米ドル/円と日経平均株価の推移です。

米ドル/円と日経平均株価

こうしてみると、2000年代初めまでは、価格が逆向きに動いています。また、2016年以降も同様です。値動きがいつも逆方向というわけではないですが、そこそこ分散効果を得られそうです。

しかし、2008年のリーマンショック前後では、やはり株価は下落しています。危機になるときも分散効果が欲しいという視点で、債券型の投資信託を見てみましょう。

投資信託(債券)の成績

下のグラフは、債券の投資信託「明治安田DC日本債券オープン」の成績です。楽天証券からの引用です。

明治安田DC日本債券オープン

債券の投資信託ですから、収益の伸びはゆっくりです。しかし、損していないことが重要です。2001年末から運用を始めており、成績が安定していることが分かります。

注目できるのは、2007年~2008年の下落がほとんどないことです。すなわち、分散投資先として検討できるということです。

投資信託というと、購入手数料と信託報酬(毎年支払う手数料)が大きいのがデメリットです。しかし、この投資信託は、ノーロード(購入時手数料が無料)ですし、信託報酬も0.648%と低く抑えられているのが特徴です。

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長期の為替レートとスワップポイント