公開日:2018年4月3日

日米の短期金利は、米ドル/円のスワップポイントを決める重要な指標です。そして、米国の短期金利は常に日本よりも高いイメージがあります。

また、米国の短期金利(政策金利)が上昇すれば、米ドル/円は円安になると言われます。しかし、これらは本当でしょうか。過去60年以上という長期間について、確認しましょう。

日米の短期金利推移

最初に、1955年以降の日米の短期金利を確認しましょう。日本の短期金利は、政策金利にしました。米国についても同様ですが、政策金利(FFレート誘導目標値)を得られなかった分については、macrotrendsからFFレートの実際の値を取得しました。

日米の短期金利

1955年と言えば、かなり昔です。第二次世界大戦が終了したのが1945年。そして、日本がサンフランシスコ平和条約に調印して国際社会に復帰したのが1951年です。そこから間もない時期からのデータです。

金利をざっくりと確認しましょう。

1970年代前半まで:日本の短期金利の方が高いです。
1970年代後半以降:米国の短期金利の方が高いです。

歴史的に見ると、常に米国の短期金利が高いというわけではありませんでした。日本の方が高いという時期もありました。

また、1980年を中心とする時期の、米国の短期金利の大きさがすさまじいです。20%を超えています。その後は、ゼロに向かって低下している様子が分かります。

日本の短期金利については、1955年から概ね低下傾向だったことが分かります。

固定相場制度と変動相場制度

ただし、この全期間を同じように眺めるのは正しくないかもしれません。下に、縦線1と2を引きました。

日米の短期金利

縦線1は、1970年代前半に該当します。1971年まで、米ドル/円は固定相場制でした。すなわち、USD/JPY=360円です。FXは変動相場制でないと機能しませんから、赤の縦線1よりも後の時代で考える必要があります。

なお、縦線2は1998年です。この年から、個人向けFXサービスが解禁されました。1998年前後から現在に至るまでを見ると、米国の金利が日本よりも高いことが分かります。このため、米国の金利の方が高いというイメージがあるのでしょう。

日米の短期金利が逆転したとき

では、変動相場制になってから、日米の短期金利が逆転したことはあるでしょうか。すなわち、日本の短期金利の方が高いという時期はあったでしょうか。グラフを見ますと、2回あります。下のグラフの矢印部分です。

日米の短期金利

ただし、逆転したのが2回と言っても、注意が必要かもしれません。

と言いますのは、2回目(右側)について、日米ともに短期金利が下がっていた時期なのですが、引下げタイミングが少しずれて「たまたま」日本の方が短期金利が高くなっただけのように見えるからです。

よって、日米の短期金利逆転が「しっかりと」実現したのは、1975年を中心とする時期だけだったと言えそうです。

今後の日米短期金利

以上の通り概観しますと、変動相場制になってからは、米国の短期金利の方がほぼ高い状態でした。よって、今後も、米国の方が日本よりも高いままだろうという予想ができます。

ただし、過去の推移から見た予想にすぎませんので、常に現実の金利を見ながら考える必要があります。

米ドル/円(USD/JPY)の推移

次に、変動相場制になってからの米ドル/円の推移を確認しましょう。下の通りです。概ねずっと円高だったと分かります。すなわち、米ドルの価値は下がる一方でした。

米ドル円の長期チャート

現在の世界は、米国が中心になっていると言って良いでしょう。しかし、米ドルが基軸通貨の地位を失う可能性がないとは言えません。弱い通貨が世界の中心であり続けるのは、無理があるからです。強くないと、安心して保有・取引できません。

といっても、米ドルに取って代わる通貨は何か?といっても、現時点では米ドルに代わるものはないように見えます。

金利差が広がると円安になる?

なお、日米の短期金利差が大きくなると、円安になると言われることが少なくありません。上のチャートと短期金利推移を比較して、どうでしょうか。

「日米の短期金利差が広がれば、必ず円安になる」というのは、少し無理があるかもしれません。短期金利差が広がると、おおむね円安になっているとは言えそうです。しかし、円安になる幅が小さいです。

一方、円高になるときは、大きく動いてきました。

この記事を投稿した2018年時点で、日本は20世紀ほどの勢いはないでしょう。よって、今後も同じように円高になるかどうか分かりません。しかし、過去の例を踏まえるならば、「円高になるときの値動きは大きく、円安になるときの値動きは小さく」になりやすいと言えそうです。