金融庁では、FXの最大レバレッジを引き下げるかどうかという議論が進んでいます。

そこで、実際に最大レバレッジが10倍になる場合に備えて、スワップポイント狙いのトレードがどれくらい影響を受けるのか、考察しましょう。

レバレッジ2倍だから、自分には関係ない?

当サイトでは、スワップポイント狙いのトレードをする場合、レバレッジを2倍未満にすることを推奨しています。2倍未満ならば大丈夫という意味ではありませんが、3倍くらいにすると、為替レートの暴落時に厳しいかもしれません。

過去の値動きを見る限り、2倍未満なら安全度が高そうです。

いずれにしましても、2倍や3倍という数字は10倍よりもずっと小さいです。よって、レバレッジ10倍規制については無視できると感じるかもしれません。

しかし、仮にレバレッジ2倍で取引するとしても、レバレッジ規制が厳しくなると、トレードにいくらか影響が出てきます。

取引に必要な証拠金の計算方法

ここで、FXの長期保有に必要な証拠金計算を確認しましょう。下は、記事「レバレッジは2倍以内にすべきだが、3倍~4倍以上でもOKな場合」で使用した絵の再掲です。

必要な証拠金

スワップポイント狙いのトレード(スワップ派)でポジションを持つとき、2種類の計算が必要です。

1 ポジションを持つために必要な証拠金額

最大レバレッジは25倍ですから、投資額の4%の証拠金が必要です。最大レバレッジが10倍になれば、投資額の10%の証拠金が必要です。

2 円高になってもポジションを維持するための証拠金

例えば、豪ドル/円(AUD/JPY)を85円の時に買って、その後55円まで円高になるとします。30円分の含み損になります。この含み損になっても大丈夫な証拠金が必要です。

円高になると、必要証拠金が少なくなる

証拠金計算の方法は、FX業者によって少しずつ異なります。そこで、ここではDMMFXを例にしてご案内します。

DMMFXでの必要証拠金額:
必要証拠金額=現在値×Lot数×取引単位÷レバレッジ

計算式をご覧いただくと、必要な証拠金額を計算するとき、「現在値」を使っています。例えば、豪ドル/円(AUD/JPY)を80円で1万通貨買うとしましょう。この時、必要証拠金は32,000円です(80円×10,000通貨×0.04)。

その後、60円まで円高になったとします。この時に必要な証拠金は24,000円です(60円×10,000通貨×0.04)。必要証拠金が減少しています。

一方、80円で1万通貨買って60円まで円高になっていますから、含み損は20万円です。円高になる過程で強制ロスカットを回避するには、20万円の入金が必要です。

必要証拠金:32,000円 → 24,000円に減額
含み損に備えた証拠金:20万円

含み損に備える金額の方が、圧倒的に大きいです。このトレード試算で、最大レバレッジが10倍になったと仮定しましょう。同じように計算すると、以下の通りになります。

必要証拠金:8万円 → 6万円
含み損に備えた証拠金:20万円

最大レバレッジ規制が厳しくなりましたから、必要証拠金も大きくなります。しかし、円高になるにつれて金額が減少します。また、含み損に備えた証拠金に比べれば、必要な額はとても小さいです。

以上の試算から、長期トレードについては、最大レバレッジ規制が10倍になっても、致命的な影響はないと言えそうです。

必要な証拠金額が増えてしまうのは痛いですが、それよりも、ポジションを持った後に円高になって苦しまないように工夫する重要性の方が大きいと言えそうです。

短期トレードは影響大

なお、短期トレードについては、影響は極めて大きいと言えそうです。短期トレードの特徴として、比較的高いレバレッジで取引することを挙げられます。

しかし、レバレッジ規制が厳しくなれば、高レバレッジで取引しづらくなります。よって、短期トレードは人気がなくなるかもしれません。これはすなわち、FX業者の収入減少を示します。

FX業者の収入が減れば、スプレッドを多少なりとも広くせざるを得ないかもしれません。すると、さらに短期トレードが難しくなります。

長期トレードの場合、スプレッドはあまり重要ではありません。スワップポイントの数字が厳しくなるかもしれませんが、トレードができないというほどにはならないと予想しています。

とはいえ、レバレッジ規制は25倍のまま維持してほしい、というのが本音です。