トルコリラ円が大きく円高になっています。それに合わせて(少しタイミングが遅いような気もしますが)トルコ中央銀行が利上げで応戦しています。とてもダイナミックな状況ですので、状況を確認しましょう。

トルコリラ円の日足チャート

下のチャートは、セントラル短資FXからの引用です。トルコリラ円の日足チャートです。全体として、円高傾向で推移している様子が分かります。特に、右半分で円高の勢いが顕著であり、最後の4本の日足の上下動がとても大きくなっています。

トルコリラ円のチャート

日足では、長期の円高の状況が良く分かりません。そこで、月足でも確認しましょう。

トルコリラ円の月足チャート

下は、月足チャートです。2014年末の高値を最後に、ひたすら円高に突っ走っている様子が分かります。

トルコリラ円のチャート

為替レートの推移:
2014年末:54円くらい
2015年末:41円くらい
2016年末:33円くらい
2017年末:30円くらい
2018年5月:22円台

真っ逆さまという様相です。トルコリラ円を買うとスワップポイントが大きいです。このため、トルコリラ円を好んで買う皆様も多いことでしょう。しかし、これだけ円高の速度が速いと、スワップポイント益を食いつぶして損失になってしまいます。

円高の原因

為替レートは、通常は上下動するものです。すなわち、急速に円高になるとしても、どこかで円安に反転すると期待できます。しかし、トルコリラ円に関しては、現状、この考え方が通用していません。

2015年から、ほぼ一方的に円高になっています。これはなぜでしょうか。いくつか理由を挙げることができます(順不同)。

円高の原因(予想):
1 シリアを中心とする、中東情勢の悪化
2 EUとの関係の悪化
3 トルコ国内での緊張(特に東部)
4 クーデター失敗
5 大統領の強権的政治
6 中央銀行の独立性が脅かされるという懸念

そのほかにも、いくつもあるでしょう。トルコにとって、プラス要因を探す方が難しいかもしれません。トルコリラが弱くなる点ばかりが目立ちます。

しかし、円高がほぼ一方的に進んでいたのに対し、中央銀行の動きは鈍く、効果的な手を打てないでいるように見えました。報道を見ると、金利を下げたい大統領が中央銀行をけん制しているらしい、と伝わってきます(実際はどうか不明ですが)。

中央銀行が政府から独立した存在であることは、現代社会では当然と見なされていると言って良いでしょう。中央銀行が政府から独立していないと、ロクなことがありません。人類は、歴史で勉強しました。

しかし、やはりといいますか、歴史は繰り返すのでしょうか。

トルコ中央銀行が政策金利を引き上げ

しかし、トルコ中央銀行がとうとう動きました。2018年5月23日、急速に円高が進んだのに対応して、政策金利を引き上げました。

下の日足チャートで、数字1のローソク足部分です。24円から22円前半まで一気に円高になったのですが、トルコ中銀の政策金利引上げを受けて、一気に元の位置まで戻した様子が分かります。デイトレードが大得意という場合、この動きは最高に楽しかったことでしょう。

トルコリラ円のチャート

しかし、翌日には再び円高になりました(数字2の部分)。政策金利引上げの効果は1日しかなかったことになります。

政策発動タイミングが後手に回っていることに加え、報道によると、市場は大統領と中銀の摩擦を懸念しているようでした。そして、日足2の次の日足では、円高こそ進まなかったものの、円高基調に変化が見られませんでした。

そこで、なのかどうか不明ですが、3の日足部分で、トルコ中銀は再び政策金利を引き上げました。この結果、再び24円台を伺うところまで円安になりました。

今後、どうなるでしょうか。為替レートの推移から目を離せません。

なお、上のチャートの日足1の高値、日足2の高値、日足3の高値を見ますと、徐々に円高方向に切り下がっています。これは、市場の懸念を反映した値動きなのかもしれません。

トルコの政策金利

ここで、トルコの政策金利を確認しましょう。トルコ中央銀行は、短期間に政策金利を2回引き上げました。しかし、同じ金利を2回引き上げたわけではありません。

何が言いたいかと言えば、トルコの政策金利はいくつもあります。下は、トルコ中央銀行ホームページからの引用です。政策金利が5つあることが分かります。

トルコの政策金利

5月23日(水)、後期流動性貸出金利(Late Liquidity Window Interest Rates)を引き上げ、13.5%だったものが16.50%になりました。3%の引き上げです。そして、5月28日(月)、1週間物レポ金利(One-Week Repo)を16.50%に引き上げると発表しました(6月1日から実施)。

政策金利が複数あるのですが、一般個人投資家には、極めて分かりづらいです。プロでも難しいのでは?と思います。

1週間物レポ金利:
銀行から国債を買ったり、売ったりしてマネーサプライを調整する際の金利です。

翌日物:
返済日が翌営業日という、超短期の資金の貸し借りです。

後期流動性貸出金利:
毎営業日終了時、中央銀行が「最後の貸し手」として、銀行に流動性を供給する際の金利です。

それぞれの政策金利について、どれだけ変更したらどうなる、など、理解が極めて難しいです。政策金利が一つでも難しいのに。こういう時は、「チャートを見る」という対応になるでしょう。市場参加者の正直な評価を見るには、チャートが最も分かりやすいです。

トルコの政策金利が簡素化

この難しさを改善する動きも見られます。トルコ中央銀行は、2回目の政策金利引上げの際に、政策金利簡素化を打ち出しました。その結果、1週間物レポ金利がトルコの政策金利になります。このレートは、後期流動性貸出金利と同じ(16.50%)になります。

そして、翌日物金利は、レポ金利の±1.50%とすることになりました。今後、私たちはレポ金利だけ見れば良いので、以前よりも分かりやすくなったと言えるでしょう(そうはいっても、政策金利を理解するのが容易になったというわけではありませんが)。

下は、2018年6月1日時点の政策金利一覧です。政策金利が一つだけになったことが分かります。

トルコの政策金利

レポ金利の推移

最後に、今回の引き上げを反映した、レポ金利の推移を確認しましょう。これだけ一気に政策金利が上がると、トルコルラ円を保有するときのスワップポイントも大きくなるのでは?と期待してしまいます。

トルコの政策金利

ちなみに、単純計算で、トルコリラ円を1万通貨買うときのスワップポイントを試算してみましょう。政策金利と短期金利が同じになるとして、トルコリラ円=24円のとき、

24円×10,000通貨×0.165÷365日=108円

トルコリラ円のスワップポイントは108円という計算になりました。各FX業者が提示する数字に期待したいです。

→ トルコリラ円のスワップポイント比較